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ミニシアターの六人  著:小野寺史宜

小説
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銀座のミニシアターで、二年前に亡くなった末永静男監督の追悼上映が行われている。

二十一年前に公開された『夜、街の隙間』、上映は一週間だけ。

最終日前日、午後四時五十分の回。

観客は六人だった。

この映画館で働いていた三輪善乃は、公開当時にチケット売場の窓口にいた。

山下春子にとっては、大学の同級生と成り行きで観に行った作品だ。

自主映画を撮っていた安尾昇治は、末永のデビュー作でその才能を目の当たりにし、道を諦めた過去がある。

沢田英和は、この作品に元恋人との苦い思い出があった。

誕生日デートのはずだった川越小夏は、一人でスクリーンを眺めている。

映画監督を目指す本木洋央は、生物学上の父親が撮った作品を観に来ていた。

観客たちの人生と、『夜、街の隙間』のストーリーを行き来しながら、出会いとすれ違い、別れを繰り返す日々の中にある奇跡を鮮やかに描く。

『ひと』の著者が銀座という街とミニシアター、そして映画への愛をも描き切った渾身の人生讃歌。


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